Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
話しか交わさなくなった。
ルカは、何か言いかけては、口の中で溶けるフリスクのように、言葉が舌の上で溶けて消えた。
レンもそうだったのかな?とルカは、思った。
レンと、もっと話しておけば良かった。
あんなに近くに居たのに、レンの事を何も、分かってあげられなかった。
泣き腫らした次の日は、目が真っ赤で、世界は、にじんでる。
睡眠不足の後藤は、目の下にクマを作って、深夜バイトに出かけて行く。

ルカが、酔ったママが口を滑らせて言った、父親の住所に、自転車に乗って会いにいったのは、小学生の時だ。
インターホンを押すと、中から出てきた中年の男は、目を丸くしながら言った。

「・・ルカな
[次のページ]
戻る   Point(2)