Birthday Cake/ツチヤタカユキ
は、道端で泣きながら叫んで、そのまま嘔吐した。
何も食べていないから、逆流したのは、胃液のみだった。
そんなルカに声をかけて来たのが、当時18歳の後藤だった。
出会ったその日から、ルカは、後藤の家に転がり込んだ。
二日酔いの朝は、後藤の甲高い金属音のような声が頭の中に響いた。
「一人っ子だったの」
家族の話を聞かれるたびに、ルカは、後藤にそう偽った。
誰にも言えない過去は、心の金庫に閉じ込めるみたいにして、隠し通した。
毎日、朝食を食べ終えた後藤は、そそくさと、バイト先の建築現場へ向かう。
一人で部屋に残されたルカは、静まり返った、世界の音を聞いた。
後藤は、ま
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