Birthday Cake/ツチヤタカユキ
・・すまん。部屋に行くわ」
シオンが起こした事故があって以来、ルカだけが残された、実家の団地。
808号室には、今では別の家族が住んでる。
家族の思い出が染み付いたあの家に、ルカは、もう帰りたくないと思った。
あれからシオンに、一度も会っていない。
刑務所の面会にも、一度も行く気がしなかった。
二度と会いたくないと、ルカは思った。
兄弟を二人同時に、失ったような感覚。
出来るだけ、シオンの事は、考えないように努めた。
しかし、排除しようとすればする程、無意識のうちに、シオンの事を考えている自分が居る事に気付いた。
記憶は、入れるのは楽だけど、消すのが困難な点で、タトゥー
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