Birthday Cake/ツチヤタカユキ
車中の方が、実家って感じがする。
「いいか?オレが金庫を開けてる間に、ストップウォッチで、声に出してタイムを測るだけでいい」
後部座席に座ってるレンに、シオンは、これからやる金庫強盗の計画を話した。
レンは、その話を聞きながら、尿意を我慢してる時のように、そわそわしてる。
現場に到着すると、「被れ」とシオンは、覆面マスクをレンに手渡した。
「・・分かった」
シオンがレンの声を聞くのは、久々の事だった。
受け取った覆面マスクを被る直前に、緊張で強張った表情と、少しだけ潤んだ瞳が見える。
それが、シオンが見た、レンの最後の顔だった。
車から降りたシオンは、慣れた手つきで、
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