Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
「お前もやらねえか?」と誘われた事がある。
「辞めとくわ」シオンは、誘われるたびに、それを拒否し続けた。
目的は金だけ。
頑なに、ドラッグにも、ヘロインにも手を出さなかった。

シオンは、金庫強盗で稼いだ金を、一円も自分の事には使わなかった。
門脇と山分けした後、ポケットに入れた札束は、そのまま実家のテーブルに置きにいく。
ルカの後ろ姿は、どんどんママに似ていくから、シオンは、実家に帰るたびに、一瞬だけ、ママが帰って来たような錯覚に陥った。
犯行の後は、興奮の余韻で、なかなか眠れない。
そんな夜は、睡眠薬に頼り、朝の襟首を掴んで、無理矢理にでも引っ張り出して来た。
何度尋ねても
[次のページ]
戻る   Point(2)