Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
乗りしなくて断ったが、今となっては事情が違う。
あの日の別れ際、門脇と交換した連絡先に、電話をかけた。
12コール目で、門脇が出る。
その声は、今、起きたばかりだというのが、伝わってくるような、寝起きで発せられる、気怠そうな声だった。

「今、起きたのか?」

門脇は、まだ夢の中から、完全に脱し切れていないのが、電話口からでも伝わってくる。
「・・お前に起こされた」

シオンは、ため息をついた後、いきなり本題を切り出した。
「門脇。今すぐ金がいる。・・何か仕事あるか?」

まだ半分寝ている門脇に、事情を分からせるのには、骨が折れた。
事の次第を、ようやく理解した門脇は、
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