Birthday Cake/ツチヤタカユキ
って、誰よりも、家族の事を愛してるのは、シオンだった。
ママが使用していた、スマホのディスプレイ画面には、たくさんのヒビが入っていた。
あのスマホのように、ママは家族間にも、たくさんの亀裂を入れて、去っていった。
シオンは、参観日の日の教室のように、背後からずっと、誰かに見られている気がした。
その視線の正体はレンだった。
背が高いシオンとは、対照的に、レンは、背が低く青白い顔をしていて、二人に視線を向けながら、泣きそうな表情を浮かべている。
それは、無言の絶叫だった。
二人には、レンの悲鳴が聞こえたような気がした。それは、どんな言葉を並べ立てるよりも、有弁だった。
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