Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
が、誰よりもレンを理解し、愛していた証拠だった。
その絵を見ていると、シオンの心の中を見ているような気になった。

シオンが入院する病院は、地下鉄を二本乗り換えないと、辿り着けない。
病院に到着すると、ルカは、開けっぱなしの病室の入り口から、シオンの様子を覗いた。
シオンの病室は、描きかけの絵が散乱していて、まるでアトリエのような状態になっていて、どの絵にも必ず、レンの姿が描かれていた。

シオンは、片手に持ったパンをかじりながら、描き続けていた。
髪は短く刈り込んでいて、その時ルカは、黒髪のシオンを10年ぶりに見た。
今描いているキャンパスには、打ち上げ花火を絵にぶつけて、爆発
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