Birthday Cake/ツチヤタカユキ
、まだ18歳なのに、30代のような風格を感じる。
顔は、日本人離れした鼻筋の通ったピーナッツみたいな顔立ちをしていて、学生の頃、暴走族をしていた頃の雰囲気が、今もどこと無く残っている。
出会ったばかりの頃、ボクサーを目指しているという後藤に、「何でボクサーになろうと思ったの?」と、ルカが尋ねると、一本のDVDを見せられた。
「この人みたいに、なりたいって思ったんだ」
後藤が指差した、安城健吾という名前のボクサーは、その当時の世界チャンピオンに、ボコボコにされては、何度もマットに沈められていた。
まるで、モグラ叩きのモグラ。
殴られるために、立ち上がっているようにしか見え
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