Birthday Cake/ツチヤタカユキ
肩には、ルカとレン、二人分の重圧がのし掛かる。
玄関のドアを開けると、いくつもの工場が見える。
このまま社会に出て、あそこで一生働いて終わっていく。
そんな未来を想像するたびに、シオンは、気が狂いそうになった。
目を閉じれば、現実を、全てシャットアウト出来る。
シオンは、目を閉じながら、外を歩く。
まだ夕方なのに、真夜中みたいに感じる。
シオンと同じく、高校を一年の途中で、中退した門脇に、街でばったり再会したのは、少し前の事だった。
久々に街で会った門脇は、以前は短髪だったのに、髪は伸び放題になっていて、口元には髭を蓄えていて、まるで原始人のように見えた。
「お前、何
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