恋人たち/うみ
 
外国の唄がながれた
ノース・マリン・ドライヴ
それは海沿いの道で
ぼくたちが車にのって
風を感じる午後のこと

永遠が存在すると いうように
太陽のひかりはまぶしく 淡く
ぼくたちは
黒いおおきな目をした長毛種の犬のように
まぶたをとじて風を浴びていた
それはあまいたそがれのとき
蜂蜜色にかがやく
瞑目の静けさがあふれるとき
いのちの意味もしらない
おろかなぼくたちが
なぜだか神さまのたべものを
たらふくにたべられるとき
そして世界は静止していて
どこかの団地の畳の上では
だれかが足をなげだして
眠りこけているとき

ぼくときみのあいだの
ひと呼吸分
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