羽根のように/岡部淳太郎
 
いは羽根のように
飽くことなく吐きだされつづけて

そのために人は強く
そのために人は脆かった

いまこの街の 喧騒のなか
人々がそれぞれに目的地に向かったり
家に帰ろうとしていたりするなか
ビル街の谷間から見上げる空には
無数の羽根がただよっている
それを何と素晴らしい眺めだろうと みんな見上げている
そこにそれぞれの思いがあって
やがてそう遠くない未来に
その行末が決められてしまうことも知らずに
その美しさに見とれている

人々の それぞれの思いは
どこまで届くのか あるいは
どこまでしか届かないのか
それを意識することもなく



(二〇一六年四月)
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