始まりの終わり/由比良 倖
 
連れて行かれる。記憶には無い場所に。当たり前のように、私たちは、そこでは笑っていた。忘れてしまった夢の中で私はあなただった、分裂した水鏡が幾つも並べられてて。冷たい月の大地には、青白い草を電子線で出来た胃で食む羊がいて、恐竜の時代から私たちは花だった、白い、当たり前の記憶の、凍結、展望。空間は、凪いでいますね、私は結局、存在しない。(見てて、どんなに難しいクエストだってクリアしてみせるから)死んだ彼、彼女ら、そのひとりひとりの、指紋を吸いこんだ、手すり。

たった三つの単語からでも哲学に入ることは出来るし、私たちは夢に備えて食べるのだし、心おきなく渇望してそれを詩としなさいと、芸術は細められた
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