古びたデジタル時計への愛の詩/ふじりゅう
 
それはデジタル時計の突然の疲弊
何の音もない空間に何の音もせず
徒に静止して何の表情も示さない

ごめんねの一言は喉から出ない
ごめんねの震えを喉ぼとけは感知しない

だってそれはデジタル時計
命令に忠実なだけのデジタル時計
たまにミスするデジタル時計
時間の相対性が証明されたあとで
淡々と生まれた時計のひとつ

くるくる針がまわっちゃあ
三半規管が壊れちゃいそうだって
そうやってぼくはデジタル時計だけを
愛することに決めたんだっけ
そうだっけ

君の液晶はダークマターのように
何一つ皮膚で感じられない

smartphoneで見る時計は綺麗で
アイツ
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