エンド/由比良 倖
 
それは僕だよ。でね、僕が誰か僕は知らないんだ。理由は、会ったことがないから。

ときどき、そいつを見るよ。でも、そいつかどうかは、分からない。

みなみなさまみなごろしのゆめ、みなみなさまみなごろしにされて、屍体は一瞬にして浄化されて、私は激しく残虐で、同時に清浄なのですよ。終わりが近付いている、右目視野の占める割合が増える。ジミヘンはどこまでも虚空を貫いていく、ジミヘンが、ジミヘンの適宜な定義によって、私の四角な視覚の死角では、どこまでもやつれた顔をした断罪人達が、よれよれの裸足を使って脳みそを作っている、半分は失敗し、半分は焼却される。

ただまえにすすむちからをください。きせきをしんじるちからをください。いまがきせきだって。いまがきせきだって。

僕にはあなたが半分しか見えない。
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