知らない誰かが知らない誰かを/こたきひろし
途中で女は男に誘われた
理想の見た目の男だったから
女は男に抱かれた
だけど
いいところで目覚める
すると同じ寝床の隣には
だらしなく口を空けて鼾を立てている男がいた
その顔を見る度に
女は幻滅させられた
こんな男には絶対抱かれたくなくなっていた
だけど情ではしっかりと繋がれていた
いまさら離れられなかった
鼾を立てていた男は
まさしく俺だった
既に
あんたとは一生しないと
女から
つまり嫁さんから
告知されていた
可哀想な男だった
戻る 編 削 Point(2)