デカメロン/アニュリタ
 
サディストの女のように聞こえるかもしれませんが、心の優しいひとでしてね。灰色のスーツと白いコートの似合う、とても素敵な人でした。

「すみません。どうも私は御婦人方がいらしゃるところで、こうした話をする機会がなくて慣れていません。お許しくださいませ。脱線しました。
 ある夜その女性が、面白いパーティーがあるからと、私を連れて、渋谷を青山のほうへ少しいったところにあるビルに行ったのです。
 そこはロココ調の家具で飾られた、広い貸し部屋のようでした。ドアを開けてもらって、入ってすぐ驚いたのは、入り口の両側に番人のように立っていた立派な体格の二人の男性の姿でした。
 なんと目の開いていない真っ
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