虹をつかまえた猫/丘白月
 
ない

ポプラは走り出した
白い灯台に向かって
虹をつかもうとして

エリはウミネコを呼んで言った
私は虹の妖精なの
ポプラはきっとつかまえて来るわ

帰ってきたら伝えて欲しいの
たぶん私はいないから
虹のかけらは私の魂だと

灯台に辿り着いたポプラは
空を見上げて言った
虹なんてどこにもないよ

ふと海を見下ろすと
海はずっと遠くまで
すべて虹の色に輝いていた

虹が海に生まれ変わり
ポプラの心を映して
ゆらゆらと虹の波が見えた

妖精の魂が水面から
ゆっくりと沈んでいく
潮の香りは妖精の故郷

辿り着けない虹が
ポプラを呼んだ

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