アイ・ガット・リズム/ホロウ・シカエルボク
騒々しい球体がずっと頭蓋骨のあちこちを転がり続けているみたいな目覚め、ふやけた景色が見覚えのあるものに戻るまで起きていないふりをして憂鬱をやり過ごし、生存確認のような慎重さで身体を起こし気温の低さに身震いをする、知っているはずのすべてがまるで知らないものなのではないかと疑ってしまう瞬間は確かにある、まばたきは最も簡単な自己暗示だ、そうするだけで現実のいくつかは涼しい顔をして戻って来る、起きた瞬間に忘れてしまう夢は一番質が悪い、どうしてもそこに覚えていなければならない何かがあったような気がして、そして結局は思い出すことが出来ないままに終わる、かと思えば、何年も経ってから気が触れたように思い出した
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