傘を捨てて/asagohan
 

傘を持ち
すれ違う人達が
一段とお互いの間隔を広げる。

工業地域の雨は
アスファルトの上で
染み込む先もなく
地下に流れて

ただ
人の世を通り過ぎる

何も
育まないで。

この雨は
傘の下で
冷たい呼吸をしている
僕に似ている。

あいつを
抱きしめてやりたいなら
傘を捨てて

この冷たい雨を
受けなければならない。
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