傘を捨てて/
asagohan
雨
傘を持ち
すれ違う人達が
一段とお互いの間隔を広げる。
工業地域の雨は
アスファルトの上で
染み込む先もなく
地下に流れて
ただ
人の世を通り過ぎる
何も
育まないで。
この雨は
傘の下で
冷たい呼吸をしている
僕に似ている。
あいつを
抱きしめてやりたいなら
傘を捨てて
この冷たい雨を
受けなければならない。
戻る
編
削
Point
(2)