雨の日、うつくしい使者と/ホロウ・シカエルボク
 


呆然としたぼくにあなたは笑いかけて
毅然とした足跡を残しながら繁華街のほうへと去っていった
ぼくはもうあなたのあとを追わなかった
あなたがどうしてそんな風に歩いているのかなんとなく理解したからだ

ぼくは傘をさして歩いた
濡れながら見る雨と傘の中から見る雨はまるで違うものみたいで
身体に残ったいらないものを必死で払った
ねえ、あなたの用事がすべて済んだそのときは


もう一度
こちらに歩いて来てもらってもいいですか


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