行方知れずの抒情 三/ただのみきや
 
は死んで往く
あなたの一瞥 微笑みの旅路より
遥かに短い一生だから
惑いの星の夜の子らは
月にすら目が眩み
闇へと漂い流されて
あなたの瞬きに身を焦がしても
この身の光はつめたくて
いつか生まれ変われるならと
明滅してもつめたくて




宝物

樹海で拾った頭蓋の欠片の白い曲線

遊女だった曾祖母の黒髪の束と赤い櫛

十二匹の斑猫(ハンミョウ)を入れて防腐処理した硝子の小瓶

――まだまだあるけど見せてはあげない

僕が君の想像通りの人間である以上
君の目には全て愚かで無価値だから




                《2020年2月29日》








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