教室/こたきひろし
学校には道徳という授業があって
ぼんくら頭の俺には
眠いだけの時間でした
起立
礼
着席
いつも心の底で思ってました
こんなの省略してよくないかって
その日
先生は道徳の時間を使って
怖い話をしてくれました
それは藁の人形に釘を打って
人一人呪い殺す話でした
それは別段珍しくない話でした
よく聞く内容でした
何で先生はそんな話をするために
道徳の時間を潰したのでしょうか
道徳の授業がそれに相応しいと思ったのか
道徳教育に反抗心を剥き出しにしたのか
未だに謎です
それは男に遊ばれて捨てられた女の話でした
けして中学生の教育に好ましい話ではありませんでした
不道徳な内容でした
騙されて裏切られた女は復讐を決意します
何と女は子供を孕んでいたのです
呪い殺人が果たして成功したかどうかまで
先生は話してくれませんでした
そこにいたる迄の過程を熱心に語ってくれました
教室はしんと静まり返って
生徒たちは聞き入ってました
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