野ばら/うみ
たとえあなたをなくしても
それがあいすることならば
さよならをいえる
白いかもめのように
自由なあなたがうつくしいことを
世界じゅうのだれより
わたしは知っているから
たとえあなたにあえなくても
それがあいすることならば
わたしは歩いてゆける
ひとりぶんの孤独をかかえるのは
決してわるくない
野の花も風もあなたも
きっとわたしの一部だから
ひとのこころの 折れた翼や
にくしみでねむれぬ 夜の色を
まるごと愛せるほどのかなしみをください
まちなかでだれかを呼びとめるときの
せつなさとともに
もしもあなたをわすれても
いつかあいしたことがあったなら
わたしは生きてゆける
野ばらの一輪だって
ひとは手にいれたことがないから
こんなふうに誰かに
詩を書いたりする
戻る 編 削 Point(1)