野ばら/うみ
 
たとえあなたをなくしても
それがあいすることならば
さよならをいえる
白いかもめのように
自由なあなたがうつくしいことを
世界じゅうのだれより
わたしは知っているから

たとえあなたにあえなくても
それがあいすることならば
わたしは歩いてゆける
ひとりぶんの孤独をかかえるのは
決してわるくない
野の花も風もあなたも
きっとわたしの一部だから

ひとのこころの 折れた翼や
にくしみでねむれぬ 夜の色を
まるごと愛せるほどのかなしみをください
まちなかでだれかを呼びとめるときの
せつなさとともに

もしもあなたをわすれても
いつかあいしたことがあったなら
わたしは生きてゆける
野ばらの一輪だって
ひとは手にいれたことがないから
こんなふうに誰かに
詩を書いたりする
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