カップラーメンをすすりたくなって/こたきひろし
 
ドルの封を開けて蓋をあけた
直ぐちかくに備え付けのポットあって席を立とうとしたとき
ヌードルを包んでいたビニールが落ちてしまった
すかさず老人が言ってきた
「拾いなさいよ」
強い口調だった
私が拾おうとする前にわざとらしく言ったように思えてならなかった

私はビニールを拾うとカップヌードルも持ってごみ箱のところへ行った
そして躊躇なくみんな捨てた
老人への反抗心から

私はそのままコンビニを出た
ふたたび
極寒の夕暮れの中に

果たして私は間違っていなかったのか
振り返れば
浅はかで愚かな行為に違いなかった

未だに苦い思い出になっている
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