カップラーメンをすすりたくなって/こたきひろし
 
仕事が終わった
一日の勤めから解放された

極寒の夕暮れ
車で家へ帰る途中
無性にカップラーメンをすすりたくなって
コンビニに立ち寄った

そこでカップヌードル一つだけ買った
それから少し迷ったが
店の奥に設けられたイートインコーナーへ歩いた

そこには先客がいた
見るからに気難しそうな顔つきをした老人がいた
一人でイスに座っていた
何をするでもなく
一人ですわっていた

もしかしたら老人はその場所に長い時間すわっていたように思えた
それは行くところがなくて帰るところもない老人のような気がした

私は老人からイス一つ離してすわった

私はカップヌードル
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