彼岸花/古具をふね
 
 何故あんなに物悲しい顔をしているのか
 美しい曲線を描いて

 過去のしなやかな背筋は悲しみにくれながら
 赤花の遠ざかる姿をただ見ているだけ
 
 一面の彼岸花の中で
 夕暮れの日差しが扉を開ける
 
 イデアに手が届くこともなく、蜃気楼をぼんやりと
 見つめている 立ったまま何もせずに
 
 メランコリアの花
 憂鬱な背骨から、カタルシスを生み出して
 永遠一面赤となれ

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