家路/
梓ゆい
死んだ者たちが帰ってくる時刻だ。
透明な海が広がる南の方角から
白い空間と氷雪で覆われた北の方角から
生まれ故郷を目指して魂が向かうのは
死ぬ間際まで思い続けた家族に対しての心を
表しているかのようだ。
お父さん。お母さん。
無言でこぼれていた無念の涙。
「私は生きて、家に帰りたかった。」
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