信ちゃん/こたきひろし
 
信ちゃんはね。本当は信子と言ったんだ。
でもね、お世辞にも可愛くなかったし、美人でもなかったな。
ただ庶民的で気どらない親しみやすい女子だった。
信ちゃんはね、俺みたいな男にも気軽に話しかけてくれてさ。異性を相手にすると緊張してしまって上手く言葉を扱えなくなるような男でも普通に話ができたんだよ。
可愛くも美人でもなかった信ちゃんだったけど、胸は大きくてお尻は出てたな。
もう四十年前以上の事だった。俺は二十一歳。信ちゃんは幾つだったんだろう。多分俺と大差はなかったと思う。
当事、俺はI駅前の軽食喫茶の厨房で働いていた。信ちゃんは客席で持ち運びと接客をしていた。
そこは三階建ての雑居ビル
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