アラウンドアバウトミッドナイト/ホロウ・シカエルボク
瞬きのように
古い明かりが
点滅を始めて
一日のおわりの
非常信号みたいに
すべての支度は終わった
あとは眠るだけ
眠りなどしないだろう
往生際は悪いほうが潔い
ほんとうに美徳と言えるのは貪欲さだけだ
犬歯を牙のように研ぎたい
ひとめで判るように
ひとを殺すための牙だって
けれど
歯のためのやすりなんて手に入らないし
言いかけてやめた言葉は
やめられたままであるべきだ
そんなやりくりに夢中になると
運命は捻じ曲げられると
信じることが出来るようになってしまうから
枕を引き裂いても夢は隠されていない
ソフトパイプと綿の群れが
はらわたを食い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)