ハローワークにて/こたきひろし
思ったほど感激は感じられなかった
そんなものかと落胆した
それは何となく自慰行為に等しいものを感じた
自慰行為の後の空しさのような
六十一歳で私は今の職についた
運よくハローワークで熱意ある相談員と出会ったからだ
いつにはない対応によって私はフルタイムの職を紹介された
年齢を聞いて面接を渋る相手先にプッシュしてくれたのだ
「会うだけ会って見ます」
の承諾を貰えたのだ
それが縁で採用された
採用されなければ
今頃は奈落の底に堕ちていたに違いない
残念ながらそこに短歌なんて
何の役目も果たしていない
無意味な存在だった
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