雨上がりの空に/こたきひろし
ありがたい
定年制のない仕事だから
このまま死んでも働いていたい
そうでもしないと生計が立ち行かない
若い頃はそれなりに稼げたが、今はその頃の半分にもならない
若い頃は休みが嬉しくて待ち遠しかったが、今は体を回し続けていないと、壊れてしまいそうな気がしてならない
休日が凶日になりかねないのだ
人間の体も車と一緒で古くなると部品が劣化してくる
十年十万キロ走行したら壊れるようにできてる
らしい
六十五年落ちの人間なんだから
とっくに働ける寿命は過ぎてるだろう
だからといって
スクラップにされてたまるか
スクラップになるわけにはいかない
年金だけでは足らないんだよ
貯金なんてないんだからさ
死んでも働いていないと
やってけないんだよ
あはん
なんて書いても
評価はされないけどな
何だよこれ?
年寄の泣きごとなんか聞きたくないんだよ
って思われるのが関の山さ
そんな奴等に言ってやりたい
その内に磨り減ってボロクソになるぜ
人身も人心だって
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