正と負の重さと軽さ/こたきひろし
 
ありきたりだけど
俳句は松尾芭蕉がいい

ありきたりじゃないかもしれないけれど
歌人は山崎方代が好きかな

詩人は誰も思いあたらない

小説は太宰治なんて言わない
芥川龍之介が好き
「芋粥」を読んで感動した
それに五木寛之がいい
「朱鷺の墓」に切なく興奮させられた

私は文学少年から
文学青年になり
文学中年をへて
今はただの文学好きな老人に
なってしまった

今日の私は
晩年のうちの一日に違いない

だからといって
縁側で日向ぼっこなんてしていられないよ
負が付きまとって離れてくれないから

産道から抜け出て
その体から羊水を洗われた日

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