暖冬のしたで/帆場蔵人
 
ゆきの降らない冬の日々
吊られたあらいざらしの
Tシャツはふるえていた

それはゆきを待つわたしのように
次第に乾いていく暖かい日差しのなか
磔刑にされしろくしろく待ちわびている

誰かのためでない
誰かのための祈りが
蒸発していく白々しく



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