すべてのおわりに/うみ
わらったときの
ちいさなそばかすや
唇のはしにできるしわや
白くひかる八重歯を見ていた
きみの目にしたたるさいごの涙が
ぼくの網膜に焼き付いて
まぶたのうらがわで
緑色の星になる
さよならを言うために
ぼくは生まれてきたのだろうか
手をつないだあなたが
誰だったのかなんて
一度もしらなかった
「ねえ、あいしてる」
ビルの間にはさまった空や
渋谷のきたないごみ
路地裏で猫を殺した男
そんなことがらをどうして
僕たちはどうにもできずに
きみの目がもう二度と
ひかりをうつさなくなるときに
僕はしずかにうたをうたうよ
すべてのきみへのうたを
のどがかれるまで
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