すべてのおわりに/うみ
ことばがぜんぶ死んで
人類が残ってしまった
だからぼくはきみを
ただ見つめることにした
白目に走る すこしだけ赤い血管
その茶色いひとみのなかの虹
ぼくたちは退化して
足がなくなってしまった
だからぼくはきみのとなりに斃れた
真夏の日差しがコンクリートを焼いて
くちびるは汗の味がしていた
水色のプールサイド
地球のよろこびがなにもかも消えて
すべてこわれてしまった
真昼の空を墜落した飛行機が
白い砂漠に突き刺さって
叫ぶ人もいなくなった
その星でぼくはきみをみていた
ひあがった海があった
くずれた街があった
けれどぼくは
ただその茶色いひとみがわら
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