無題に/こたきひろし
誰だって気が触れる可能性を持っている
たとえば目の前で我が子が轢き殺されたり
たとえば
愛する女が
たとえば
愛する男が他の誰かに奪われたりしたら
誰だって冷静じゃいられなくなるだろう
もし、そんな場合においても
平静な心理状態でいられたら
その人の人間性を周囲が疑わかざる得ない
人格が破綻していると
勿論
周囲の眼を怖れて
本来の人格は隠し、演技する人もいるに違いない
人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいるのが
普通だと思うからだ
誰だって気が触れる可能性を秘めている
正気でいられなく状況に至れば
それが自然だ
人としてあるべき生態だ
だけど
人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいる
のも事実だし
けして一つには括れない
括ってはいけない
多様性を孕んでいることも事実だ
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