Physics Note 3/AB(なかほど)
25
さよならさえも言えない
あの人は
何と戦っていると言うんだろう
その瞳に映る空には
青
が見えない
26
どこまでも続きそうなきれいな道路を走る
どこまでも続くわけもないないことを知っている
子供達が窓に額を押し付けることもなくなる
そうしているうちに
昼でも夜でも
消えてゆくものがある
27
プラグのはじっこから放電された言葉が
穴の開いた心には帯電されず
熱を発することもできない
君も偽物だったならばと
あお あお
と子供のように泣いた
28
あたしの夜が
無重力になった夜
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