滅んでゆく或る国についての叙事詩/TAT
 
どもこの国にはもう
新しい村は建たない




27才の弁護士が霊能者を騙り
18才の風俗嬢がカミングアウトした
14才の京都の中学生が咬まれて
28才の歯科衛生士が吊られた夜
19才の予備校生は白く輝いていた
42才の中学校教師は黒く塗られ
30才の俳優はスケープゴートにされ
29才の証券マンが赤い声で囁いて
33才のSEが手順を踏みながら
25才の大学院生が決定票を投じた
20才のトリマーの墓石はガタゴト揺れ
31才のコンビニオーナーはベグられて
22才の足場屋がGJを叩き出した





そのようにして
実に15年もの間
この国には
毎日
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