滅んでゆく或る国についての叙事詩/TAT
 








その国は最期まで
明日があるかのように
変わりなく時を刻んでいた
つまり



村長がヘイトを買い
アルビンとニコラスは緑色
老人は戦術論を熱弁し
神父は付和雷同だが
シスターは自論を曲げない
木こりトーマスは粛々と判定を落とし
ならず者はコアズレ
少年は賢く
少女は聡く
羊飼いはロジカルで
村娘パメラは豪腕
パン屋はパンを焼かないし
宿屋の女将は歯に衣を着せない
ヨアヒムは今日もニートしていた
ヤコブは質問に答えず
エルナは不思議発言を連発し
司書が票を集め
負傷兵が競り負けて回避していた




けれども
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