サウンドとヴィジョンだけの短い夜の話/ホロウ・シカエルボク
 

冷えた水道管が時々、石膏ボードの向こうで短い悲鳴のような音を立てる、闇雲に詰め込んだ食事を腹の中で撹拌しながら、窓を這う虫の数を数えていた、ここ数日、ひどく目を凝らし続けていたせいで延髄のあたりが凝固して、それが軽い頭痛を連れてきた、そんな風になるのは久しぶりのことだった、それは血管の縮小に合わせてリズミカルに、気の利いた皮肉みたいに効果的に俺を悩ませた、何度か首を伸ばしてみたけれど、望む結果が得られたとは言い難かった、だらだらと数日振り続いた雨が上がったのは良いことだといえたが、そのせいで気温はがくんと下がり、人々はみな半分だけ警戒をしている亀のように首を縮めて歩いていた、しんと冷えた世界の
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