僕たちはすべて水際(みぎわ)にいる/朧月夜
 
くれば、
希望で満たされるのか、
確かめることもなく。

空と海とは流転する、
それを輪廻とは言わず、
ただ見守るしかない。

あなたは泣いていなかった?
あなたは泣いていたでしょう?
わたしもそれを忘れずにいるのです。

言葉や音楽では満たされず、
ただ日常をやりきれない思いで、
やり過ごしている。

星は見えたのでしょうか。
その星に届いたのでしょうか。
その春風のような笑みは……

久遠のかなたに去って。
いつしかすれ違っていたことにも、
気づかずに。

良い気になっていましたね。
悲しみという快楽(けらく)に、
飲み込まれたままで。

憂鬱な季節はやがて去って、
春という優しさがやってくる。
その時までは、その時まではと。

歌を歌いながら、
待ちましょう、
待つのでしょう、わたしたちは。

誰にも看取られることなく、
他者(ひと)に褒めたたえられることもなく、
ただ淡々と。淡々と。
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