僕たちはすべて水際(みぎわ)にいる/朧月夜
くるくると空が流転する。
葉がさざめく。
海の底を人魚が泳いでいく。
悲しみは積り、積り、
切なさで、
わたしはそれを胡麻化している。
あなたたちも同じでしょう?
細やかなことができなくて、
泣いている。
ここが墓場だったら、
それならば良いのに。
その声は神に届くというのに。
ありふれた日常、
交互に点滅する信号、
それらを無視して道路をわたる。
冬には雨が降るという。
この国の四季は失われて、
久しい、久しく。
どこにも届かない言葉、
気まぐれに届く郵便。
それは海の向こうからの報せ。
ここへ来なよ。
どこへ行くの?
こ
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