同じ川で汲み上げた水は混ぜればひとつの水に戻る/ホロウ・シカエルボク
 
ろう、それはもう夢想するものではなくなっていた、けれど、いつかある日突然に予期せぬ形でそれが訪れるかもしれない、そのときまでにどんなことが出来るだろうと思いながらコーヒーを飲みほすと、あれこれ考えるよりも眠らなければならない時間になっていた、そうだな…歯を磨いて明かりを消し、ベッドに潜り込むと、カウボーイ・ジャンキーズが初めてスタジオで録ったアルバムを流した、すぐ眠れるかどうかは横になった瞬間にわかる、どうやら今日は寝つきが良くない日のようだ…あの女のせいではなかった、あれはあれでカタがついたのだ、彼女はむしろいま俺よりも幸せな気持ちでいるだろう、遠くを走るマフラーをいじったバイクのノイズが闇の中で跳躍していた、マーゴ・ヘミングウェイはアルバムの中で一度も大きな声を出さなかった。


戻る   Point(0)