同じ川で汲み上げた水は混ぜればひとつの水に戻る/ホロウ・シカエルボク
 
はなんだったのか、俺がこの放送を目に止めたのはたまたまだったので詳しいことはなにもわからなかった、取り乱すということは男だろうか―振られたか騙されたか―いまとなっては知る由もないが…俺はこれをモニターの中で行われる出し物のひとつと認識していた、いつの間にか、無意識に…そのせいか、いま目の前で失われたひとつの命にどんな感情も持たなかった、それは俺の友達でも恋人でも親族でもないのだ、それはただひとつの出来事に過ぎなかった、それが良いことか悪いことかなんて考える気にもならなかった、すべての死が悲しみを伴うものだなんて宗教じみてる…見たいと思えばどんなものだってワンクリックでその目にすることが出来る時代な
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