同じ川で汲み上げた水は混ぜればひとつの水に戻る/ホロウ・シカエルボク
モニターの中では性具のような光沢を持つ拳銃をこめかみに押し当てたブロンドの若い女が眼窩いっぱいにまで目を見開いて笑い続けていた、それが冗談なのか本気なのかすぐには判断が出来なかったが、引鉄にかけた指が微かに震えているのに気付いてああ、本気なんだと思って結末を見ようとしていた、簡単なことだった、ちょっと指に力を込めればいいだけだ―一瞬で死ねる―が、女はしゃくりあげながら銃を下ろし、その場にくずおれた、それはハッピーエンドのようにも思えたし、情け容赦のないバッドエンドにも思えた、だってそうだろう、これで彼女はおそらくは二度と自分で死ぬことは出来なくなったのだ…人知れず自分の部屋でのんびりと試してみ
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