つづら坂/
wc
のだった
やがてなんにもなくした私は
彼のいた煙草屋の軒先に腰をおろし
暗がりで
誰かが通り過ぎるのをじっと待っていた
時間はろ過されたように
一滴一滴ゆっくりと世界を染めて
頭上から群青が深まり
そして
暮れて
煙草屋の軒先にうずくまった影
だけが残って
静かだ
うずくまった影が
さっきまで心だった場所に
暮れていったつづら坂の情景を
焼き付けようとしている
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