点の誘い・線の思惑 ニ/ただのみきや
瞳の見る白銀がある
時計は時間の長さを計るが
時間の深さを測りはしない
わたしたちのやりとり・一
それは跳ねあがる魚であり
投げ込まれる指輪でもある
一瞬水面の上と下を混濁させる
水琴の音色
波紋が覆う
やわらかな鏡の虚像を隅々まで
わたしたちのやりとり・ニ
二人はこうして一つの花を見ているが
それは異なる花の姿で
今日こうしてわたしたちは出会ったが
その今日は別々の日で
こうして話しかけるわたしの声も
あなたの声でしかない
《2020年1月18日》
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