無題/朧月夜
 
朝焼けだよ。
朝焼けが真っ赤で綺麗だと、雨になるんだって。

と、君が言う。

僕はその、
「真っ赤で綺麗」という言葉に聞き入っている。

もし、彼女の言葉が本当ならば、
……そう、どうなると言うのだろう。

僕は言葉につまる。
(そんなこと、天気予報に聞けば良いじゃない)って。

君は真顔で、
まるで太陽の美しさに見入っているようだった。
今日のことは何も考えずに。

そして、昨日のことも、明日のことも、
考えてはいなかっただろう。君の心のなかには……

今だけがある。きっと。

単純な日常、
単純な仕事、
単純な会話、
単純な恋愛、
単純な
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