詩にうつつを抜かしてなかったから/こたきひろし
 
東京の場末の酒場でボックス席に座った。
俺は未成年だったが、社会勉強のいっかんだった。
そこへ連れて来てくれたのは俺の雇い主だった。

まだ何も知らない若造に「遊びのいろは」を教えるつもりだったようだ。
飲むうつ買うの三拍子の内。一拍子目って訳で。

そこは雇い主の馴染みの店だと教えられた。
雇い主の馴染みのホステスだと紹介された女のこが俺の横に着いた。
さっそく体をすりよせてきた。
きっと雇い主に言い含められていたに違いない。と俺は思った。

女の人をまだ知らなかった俺はつい熱くなった。
「何飲む?」
彼女は年下と見たのだろう。ため口で訊いてきた。
それが余計に俺を
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